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厚生労働省指導による専門医制度に係る懇談会の進展状況
■「歯科矯正領域の専門医制度に係る懇談会」幕開け(JIO広報第1号より)
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去る7月19日午後2時より、東京都千代田区の八重洲富士屋ホテルにおいて、第一回「歯科矯正領域の専門医制度に係る懇談会」が開催された。厚生労働省からの「国民の立場に立ち、矯正領域の専門医制度を申請している三団体(日本矯正歯科協会、日本矯正歯科学会、日本成人矯正歯科学会)で、共通の基準作りを検討する場を設けて欲しい」との指導による。当日は、本件担当官である厚労省医政局総務課の飯村康夫氏は所用のため欠席。開催に先立ち、同省歯科保健課の鳥山佳則氏より挨拶があり、その後、当会会長深町博臣より、懇談会開催に関わる提案につき説明し、以下の事が確認された。
進行係を三団体持ち回りとし、初回は日矯学会、次回は成人学会、三回目を当会とする。
協議内容は全て公開、議事録を残す事とし、各団体から各一名の署名人を出す。
認定基準の統一について話をする前に、専門医制度のあり方につき協議する。
以上、三点の確認をうけて、進行役、議事録作成人決定後に、鳥山氏よりの指名を受け、当会より、専門医の定義、数、研修制度のあり方に関する見解を述べ、協議を開始した。
専門医の定義に関して意見が二分
「専門医は、専従臨床医だけとすべきである」との当会の意見に、日矯学会の小川理事は個人的にそうあってほしいとの希望を述べつつ、実際には難しいのではないかとの意見を述べた。また、同学会の飯田理事は、専門医でなくても能力の有る方も認めるべきである、と述べ、成人学会の佐藤理事長は、例えば口腔外科専門医の場合に、口腔外科だけをやっている人と捉えるのか、口腔外科の専門的な知識と技術が備わっている人と捉えるのか、微妙なところがあるとの見解であった。当会としては、矯正領域は歯科における基本領域であるとの認識の下、専門医の重複取得を認める領域ではない、との認識に立ち、同じ技術認定で認定された歯科医師を、その開業形態の違いにより、認定医と専門医とに呼び分けるべきであると主張した。
専門医数に対する認識の相違が露呈
「特殊な症例を専門医に集中させる事で、医療の効率性、安全性を高める事が専門医制度の目的の一つであり、専門医数のコントロールは極めて重要」との当会の説明に対し、成人学会の松野理事は「正確な数字ではないが、現在日本での一年間の矯正新患数は、推定12万5千人であり、専門医件数約1200件で単純に割ると1件100人となる。また、学会認定医2000名で割ると約1名60人、標榜件数2万件で割ると1件10人以下となる。一方米国では、新患数約265万人、専門医が約1万1千人、1件200人以上の新患数である。数の問題も視野に入れることは重要である。」と述べた。一方日矯学会の飯田理事は、「国民にとって、良い矯正医が多い事は良い事だ。」と述べ、数の問題に関する認識の差が浮き彫りとなった。
次回懇談会は、9月27日、同時刻、同会場に決定
鳥山氏より、基本的な討議をする事は大変重要だが、時間がかかりすぎる事が懸念されるので、具体的な認定基準を詰めながら、その背景となっている基本的事項を確認してゆく事が提案された。それを受けて、次回までに、各団体の制度の規則、細則だけでなく、フィロソフィー、特徴、作成までの経緯等の書類を提出した上で協議を進める事となった。
補足 複数学会による同一専門医の申請
厚労省は同一の専門医に対して複数の学会が申請してくることは想定していなかった。心臓外科分野で三学会から申請があったことを受け心臓外科専門医が三種類誕生するのは国民が混乱すると考え認定基準の統一を指導した。2003年11月、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会の三学会が協力し、「患者に信用される心臓外科医」の育成を目指し、心臓血管外科専門医認定機構を立ち上げた。だが、認定基準の執刀数を決める段になると、100件が50件、30件と減り、最後は20件に落ち着いた。その後専門医の医療事故が相次ぎ「資格が手術のプロの認定基準になり得ていない」という批判が起こった。それを受け認定基準の執刀数は50件に引き上げられた。すでに認定された医師に対しては5年毎の更新時にレベルを上げるようにしたいと機構の委員は語っている。
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