学術大会報告
日本矯正歯科協会(JIO)は発会以来、歯科矯正医療の専門性の確立に向け活動を続けて参りました。本年度の大会におきましても、活動目的に沿った下記3点に関わる講演、シンポジウムを企画致しました。
1.連携歯科医療について
2.歯科矯正医療のガイドラインについて
3.専門医制度について
《 当日の武見敬三厚生労働副大臣の発言内容は、こちらから 》
1. 連携歯科医療(インターディシプリナリーアプローチ)について
昨年の第5回大会でメインテーマに取り上げましたインターディシプリナリーアプローチ(連携歯科医療)は、専門性が確立する上での必須のしくみであり、今後も学術テーマの中心として取り上げていく予定です。
今回は、山崎 長郎先生と与五沢文夫先生にご登壇いただき、それぞれのお立場から、連携歯科医療の実際とその問題点、今後の方向性と連携歯科医療が持つ可能性について、ご講演をいただきました。
山崎 長郎 先生
〜 補綴専門医が矯正治療に望むこと 〜
・抄 録
与五沢 文夫 先生
〜 矯正治療の限界と連携歯科医療の実際 〜
・抄 録
「自分の限界を知ることが、良い歯科医師の条件です。」 |
「連携歯科医療の促進には、役割分担とそれぞれの自助努力、そして専門医制度といった社会のシステムが必要です。」 |
2. 歯科矯正医療のガイドラインについて
矯正治療のガイドラインに関しては、歯科においての実績が皆無である現状を受け、医療評価機構のガイドライン担当部長である吉田 雅博先生より、下記三点に亘り貴重な示唆に富んだご講演をいただきました。
1 診療ガイドライン(Clinical Practice Guideline)とは何か
2 日本の現在の状況と今後の展望
・現在どのような診療ガイドラインが作られているのか
3 矯正歯科分野で診療ガイドラインは可能か。
今後の作成に向けての参考にしていきたいと考えております。
吉田 雅博 先生(医療評価機構医療情報事業部 部長)
ガイドラインについて(入門編)
・抄 録
「矯正治療のガイドライン作成においては、出来る限り多くの立場の人が参加するべきです。」 |
3.日本における専門医制度の方向性 〜 新たな専門医制度のあり方 〜
今回は日本における専門医制度の今後の方向性やあり方をテーマに取り上げ、医科における専門医制度に関して、日本医学会会長 高久史麿先生よりお話をいただきました。
医学界では、各々の学会ごとに不統一のまま認定された専門医による医療過誤が続発したことから、2006年8月25日に日本専門医認定制機構、日本医学会、日本医師会でつくる「日本専門医制審議会」が発足し、現行の学会単独による専門医認定を廃止して、新たな「特定専門医」を生み出す動きが出てきています。その現状についてご説明を受けました。
日本における専門医制度の方向性 〜 新たな専門医制度のあり方 〜
高久 史麿 先生
(日本医学会会長、自治医科大学学長、日本専門医制審議会座長)
・抄 録
「特に外科系の学会は各専門医の技術を社会に保障する必要があるでしょう。」 |
次に当会会長である深町 博臣 先生から歯科分野における専門医制度の歴史と問題点が説明され、当協会の目指す専門医制度の説明がありました。
日本における専門医制度の方向性 〜 新たな専門医制度のあり方 〜
日本矯正歯科協会が目指す専門医制度
深町 博臣 先生 (JIO会長)
・抄 録
・スライド
学術大会の締めくくりとして、 モデレーターに鈴木敦秋氏(読売新聞医療情報部)を迎え、歯科矯正領域における専門医制度のあり方 と題したシンポジウムを開催いたしました。
シンポジストとして、高久史麿先生、吉田雅博先生、深町博臣先生に、東海大学医学部教授 谷野隆三郎先生を加え、歯科及び歯科矯正における今後の専門医制度のあり方についてディスカッションを行いました。途中、厚生労働副大臣 武見敬三先生にもテレビ電話にて、ご参加をいただき貴重なご意見をいただきました。
<< 武見先生のご意見はこちらから! >>
今回のディスカッションにおいて、当会の目指す専門医制度についてというご意見いただきました。ありがとうございました。
- 矯正治療といういわば外科系分野の専門医認定には技術評価が必須であり、現在のJIOの厳しい規準は評価に値する。
- 臨床家中心の団体が作成した専門医制度が認められ、JIOが厚生労働省の認定する歯科矯正領域における専門性資格認定団体となることは、患者にとっても大きな福音であり、医科の専門医制度にも大きな影響を与える。
- 歯科矯正領域における専門性資格認定団体を申請する他団体との関係において、JIOの専門医制度を妥協することなく自信を持って堅持すべきである。
〜 歯科矯正領域における専門医制度のあり方 〜
モデレーター: 鈴木敦秋氏(読売新聞医療情報部)
シンポジスト: 高久史麿先生
吉田雅博先生
谷野隆三郎先生(東海大学医学部教授)、
武見敬三先生(厚生労働副大臣)
深町博臣先生(JIO会長)
鈴木敦秋氏 | |
谷野隆三郎先生 | 武見敬三先生 |