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学術大会報告

 
  共催: 特定非営利活動法人日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)
特定非営利活動法人日本歯科矯正専門医教育機構(JAO)
  後援: 公益社団法人日本歯科医師会

 今年のJIO学術大会は、昨年に引き続き日本歯科矯正専門医学会(JSO)との合同開催で行われました。
 今回のメインテーマは昨年と同じく「適切な歯科矯正治療の普及を目指して」と題し、さらにサブテーマとして「その早期治療は本当に必要?歯科矯正治療における早期介入の是非」と早期治療にスポットを当ててアルカディア市ヶ谷私学会館霧島の間にて開催されました。

 まずはじめに、群馬県前橋市の齋藤卓麻先生が「矯正治療の開始時期について〜下突咬合、叢生歯列級の転医症例から〜」と題し発表されました。
 一般歯科医で10歳から約6年間と長期にわたり矯正治療を受けた後、齋藤先生の医院へ転医した下突咬合の症例を供覧されました。前医での治療は成長予測に基づいた治療期間や治療ゴールの設定が曖昧で、明らかに術者の能力不足が感じられました。転医後は患者が矯正治療に疲れてしまっていて、治療目標や仕上がりの点で妥協せざるを得なかったことを述べられました。
 また質疑応答では、下突咬合症例における早期治療のあり方として、将来外科的治療となる可能性が高い反対咬合症例においても、心理面への配慮などから出来るかぎり一期治療を行うことがおおよその共通認識として確認されました。

齋藤卓麻 先生
研究報告
   「矯正治療の開始時期について
         〜下突咬合、叢生歯列弓の転医症例から〜」
      齋藤 卓麻 先生(群馬県前橋市開業)
抄 録

 講演の二番手として、山梨県富士吉田市の宮下勝志先生が「歯列拡大は手段であって目的ではない」と題し発表されました。
 矯正治療における治療目標がある幅を持ったものであることを理想概念モデルと実目標という考え方を紹介しながら、説明していただきました。そして、実現可能な治療目標(実目標)を設定し到達することが矯正医の義務と責任であると述べられました。
また、一期治療を行った矯正治療単独での限界と予測される症例を3症例供覧され、実目標を達成するために選択する抜歯や拡大は手段であり、決してそれらが目的となってはいけないこと、個々の症例とより真剣に、そして仁の心を持って患者と向き合うしかないことを力説されました。

 宮下勝志 先生
研究報告
   「歯列拡大は手段であって目的ではない」
      宮下 勝志 先生(山梨県富士吉田市開業)
抄 録

 

 最後に、山形県川西町の松岸潔先生が「一期治療・二期治療を行った重度の上突症例」と題し発表されました。
 Overjetが8mmとU級の厳しい症例で、一期治療開始時より、永久歯の抜歯による二期治療は必須と判断したものの、前突感の改善と口唇閉鎖の向上を目的に早期治療としてヘッドギアを装着した症例でした。その後、二期治療では上顎大臼歯を含めた6本抜歯をおこない治療を終了したとのことでした。結果として今回のケースにおいて一期治療を行わずとも二期治療だけで同様の結果は得られたであろうが、一期治療をやらないのが正解とも言えないこと、上突症例における早期治療の困難さを示され、正解がない早期治療に対して患者にしっかりと説明することの重要さを述べられました。

 松岸潔 先生
研究報告
  「一期治療・二期治療を行った重度の上突症例〜
                   一期治療の意義を考える」
       松岸 潔 先生(山形県川西町開業)
 ・抄 録

   
  

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