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学術大会報告

 
  共催:
特定非営利活動法人日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)、
特定非営利活動法人日本歯科矯正専門医教育機構(JAO)
後援: 社団法人日本歯科医師会

 今年のJIO学術大会は、JBO認定歯科矯正専門医有志が設立した、JSO日本歯科矯正専門医学会と同日開催のかたちで行われました。
 今回は、「歯科矯正専門医が必要とされる社会を目指して」をテーマに開催されました。

  先ずは医療安全セミナーとして、当協会学術理事でもある新潟大学法学部教授 真水康樹 (ますい・やすき)先生に御講演いただきました。演題は「組織における意思決定−日中比較政治の視点から−」。「権力」=「リーダーシップ」とは「意思決定」に関する専門機関であり、人間が集まるところにはどこにでもあるものですが、日本における政治の特徴として決定権力、実行権力としての「権力核」が不在であり、その弊害を先ず指摘されました。次に共産党独裁という明確な「権力核」を有する中国に関して、歴史的背景を紹介し、その重要性と結果としての陥穽を述べていただき、我が国と中国との比較から、「民主的」でありながら「権力核」のハッキリとした仕組みの構築に関して、具体的なご提案をいただきました。

医療安全セミナー
    「組織における意思決定−日中比較政治の視点から−」
           新潟大学法学部教授   真水 康樹 先生
 ・抄 録

 次に特別講演として、東京医療センター教育研修部臨床研修科医長  尾藤誠司(びとう・せいじ) 先生に御講演いただきました。真水先生の御講演のキーワードである「意思決定」を受け、治療における医師と患者の意思決定の場において、エビデンスの功罪や、インフォームド・コンセントの普及した現在における「相談と合意のプロセス欠如」という問題点を指摘されました。尾藤先生は、医療人の陥り易い固定概念を「医師アタマ」と名付けて、数冊の著作を上梓されておられますが、この「医師アタマ」の説明に加え、お勤め先の「東京医療センターは患者の皆様とともに考える健康を考える医療を実践します」という基本理念の「ともに考える」という立場で、患者さんにも考えてもらう、インフォームド・コンセントをユーモアたっぷりにご紹介いただきました。また、お話の間に、さまざまな局面にて、あなたならどうしますか?と問いかけて、臨席の出席者同士に短いディッスカッションを促し、その結果を指名の上公表させることで、まさに「ともに考える」御講演となりました。
 また、そのお立場で立ち上げた「もはやヒポクラテスではいられない 21世紀 新医師宣言プロジェクト」の「私の新医師宣言」は、その精華とも言うべき内容で、医科歯科の区別なく、医療人にとって普遍のことばとして受け止めさせて頂きました。

 尾藤誠司 先生
「インフォームド・コンセントの手引き」
エビデンスに関して、補足のご意見を述べられる
JIO顧問 谷野隆三郎先生
特別講演    
   「これからの患者-医療者関係とインフォームド・コンセント」
     東京医療センター教育研修部臨床研修科医長  尾藤 誠司 先生
 ・抄 録

   「もはやヒポクラテスではいられない 21世紀 新医師宣言プロジェクト」
    http://www.ishisengen.net/ 

 経済の低迷と歯科医療費の抑制、過剰な歯科医師数等が相まって歯科界は混迷を極めており、その結果として安易で質の低い歯科矯正治療が横行し、歯科矯正専門医は埋没しかけています。それにもかかわらず日本の歯科矯正界からは、全体としての医療の質を高め専門性を重要視しようとする強い意思が感じられません。そこには日本社会における組織としての疲弊や「権力核」の不在が背景にあります。そのような状況下において、質の高い医療を提供できる歯科矯正専門医が社会の中で必要とされ活躍できる方策の一つとして、私たちが一方的に声を挙げるのではなく、「患者さんとともに」考えることの重要性を再認識した次第です。


 

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